元バンドマンが魅せる溶接技術、町工場の職人DIY[CRAFTSMAN FILE vol.13]
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CRAFTSMAN FILE vol.13
職業:製缶・溶接職人
人生100年時代、皆さんの人生を豊かにするもの何ですか?まだ見ぬ土地への「旅行」、気の合う仲間と交わす「お酒」、家族と過ごす何気ない日々など、人生を豊かにしてくれるものは人それぞれ。
そんな豊かさの価値観が多様化する社会で「音楽」も多くの人々の人生を豊かにしてくれるものの一つではないだろうか。「Mr.DIY」にはそんな多くの人生に寄り添う「音楽」の道に進み、現在は町工場の溶接職人として腕を磨く元バンドマンDIY職人が登場。
溶接技術を駆使したプロダクトとDIYへの想いもご紹介。「溶接のプロに直接お願いしたい」。そんな方には必見です!
〈PROFILE〉HIGE OJISAN(活動名)
音響の専門学校を卒業後、バンド活動に専念。20代半ば頃にパラパラとめくった求人雑誌に掲載されていた町工場での勤務に惹かれ応募。職人見習いから始め、技術を日々鍛錬。現在は製缶・溶接職人として活躍している。
ーー現在のご職業について教えてください。
HIGE OJISANさん(以下:HIGE OJISAN。敬称略):一枚の金属板、若しくは専門の業者で曲げたり切断したりした材料を図面通りに組み上げ、溶接で継なぎ立体物にしていく仕事です。
家庭用にはない重厚感のある業務用溶接機。
DIYは図面も無いところからスタートするので、図面がある現場での制作に比べて難易度は高いと思います。本業では「作る技術」を、DIYでは「生み出すスキル」を日々鍛えています。
ーー現在の職業に就かれたきっかけを教えてください。
HIGE OJISAN:小さい頃からプラモデルや竹籤ヒコーキなどを作って遊ぶことに興味がありました。高校が工業高校であったことも気持ちを後押しして職人の道を選びました。
ドリルマシン。
ーーDIYを始めたきっかけはなんですか?
HIGE OJISAN:数年前中古のマンションを購入した際に何か家の物を作れないかなと言う発想から始めました。最初は裸電球を買ってシェード部分を設計から作ってみたりしました。
複雑な形も板金技術を使えばクオリティは段違いにアップ。
ーーHIGE OJISANのDIYアイテムの特徴を教えてください。
HIGE OJISAN:僕は自家用車を持っておらず、溶接の機械は職場にある業務用のものを使っているので、職場で作って自宅で組み上げるスタイルで作っています。
そのため、バラバラの状態で家に持って来ることができ、ネジなどで簡単に組み上げができる構造が特徴です。
海外のホテルで見かけるアイアンを使ったペーパーホルダー。
木工だけ作るDIYや、現場で工作していく家具に比べて若干費用がかかる場合もありますが、木を使った小物類も構造体には金属を溶接構造で作るので強度もバッチリです。
ペーパーホルダーとお揃いでタオルハンガーも。
ーーDIYをするときの3種の神器を教えてください。
HIGE OJISAN:1つはCADとメモ帳です。毎回、イメージを図面にするところからスタートします。インスピレーションだけで作るよりもしっかりと計画を立てて作る方が好きです。
自宅で作るアイテムを2Dで設計。
素材やサイズなども緻密に。
CGを使うことで完成イメージもアップ。
設計をしっかりするからこそのプロダクトクオリティ。
2つ目は電動サンダーで金属加工には欠かせません。バリを取ったり、溶接を仕上げたり、切断も出来る優れものです。
たくさんの傷は多くの金属物を加工してきた歴史。
3つ目は溶接機です。溶接には欠かせない金属を溶かしてくっつける事ができる最強の武器です。
溶接技術はミリ単位の世界。
ーーDIYをする日はどんな1日を過ごしていますか?
@8:00 本業の仕事を開始
@12:00 休憩時間に溶接機などを使ってDIY
@13:00 本業の午後業務を開始
@19:00 業務終了後に再びDIY
溶接などは基本的に本業の自分時間を使って作業をしています。
HIGE OJISANの作業に欠かせない相棒たち。
ーーどんな人にHIGE OJISANのDIYを使って欲しいですか?
HIGE OJISAN:木の天板は作れるけど脚はスチールにしたいと言ったような方などに向けて、必要な金属パーツだけの製作をメインに考えております。
また、趣味の範囲ですがCADとCGも使えるので、イメージはあるけど図面におこせない方でも、希望の寸法等と合わせて教えて頂き打ち合わせをする事で形に出来るかもしれません。
設計、検証の様子。
テーブルなど大きな物は、搬送手段の都合からその都度相談して可能かどうか判断いたします。この世に一つの物、一緒に作っていきましょう!
ーー今までのDIYでお気に入りの作品はありますか?
HIGE OJISAN:角置きパソコンデスクです。
パソコンを2台置いてもスペースにゆとりのあるL字のPCデスク。
最近DIYで作った物で、真ん中手前部分に脚がないのでスッキリしています。強度を保つのに設計に苦労しました。手間をかけた分愛着のある一品です。
L字の中心地に脚がなくても強度面をクリア。デスクのどこにいても脚を気にせずデスクと向き合えるグッドデザイン。
ーー暮らしの中で大切にしている事はありますか?
HIGE OJISAN:嘘をつかず正直に生きることです。ものづくりに長年携わってきて、いろいろなクレームも経験してきました。思い返すと自分についた嘘、例えば目の前の品物の出来が悪いのに良いと思い込んだりした事が原因だったと思います。
日常生活でも当たり前のことを当たり前にする事は意識して生きています。そうすると仕事でも結果につながり、お客様から喜ばれる状況に自然となっていると感じています。
ーー今後チャレンジしていきたいDIYや目標があれば教えてください。
HIGE OJISAN:木工がまだまだ経験不足なので、木を取り入れたDIYを勉強していきたいです。他にも廃材を使ったデザイン系の小物インテリアに挑戦したいです。
HIGE OJISANがいつも見ている作業場の天井。
ーー最後にHIGE OJISANさんにDIYを任せたいと考えている人にメッセージをお願いします。
HIGE OJISAN:はじめまして!金属関係に関しては会社の自分時間を利用してDIYをしています。木工はまだまだ未熟で他の職人さんには敵いませんが、金属を使った構造物に関しては自信があります。
カラーコーディネートに関しては、自身で使うものは黒系とニスもウォルナットかナチュラルな色のシンプルなものになります。希望がある方は塗料などご指定いただけたらと思います。構造面でのデザインはお任せいただき、色味や形は使用者の思いに応えていくDIYを目指しています。皆さんの作りたい物が実現可能か、お答えしたいと思いますのでぜひ一度ご相談ください。
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Edit:Mr.DIY編集部