新しい未来をDIY、若手クリエイターが社会に注ぐ情熱[CRAFTSMAN FILE vol.7]
CRAFTSMAN FILE vol.7
職業:イベントクリエイター兼エンターテイナー
未知のウイルスによって世界中の生活が一変してから約1年、我々が暮らしている日本はどう変わっただろうか。今まで以上に様々な問題が浮き彫りになり、社会に大きな亀裂が入っているのを感じている人も多いと思う。そして、大きな亀裂は子供や若者の将来への不安へと繋がり、様々な社会問題を引き起こしているのが現状だ。
今回はそんな大きな社会の亀裂を様々な活動を通してDIYしている若手クリエイターをご紹介。木工体験のワークショップを通じて伝えたい想いや、明るい未来へ注ぐ情熱をぜひ感じて欲しい。
〈PROFILE〉CHARO | チャロ (活動名)
大学卒業後、無印良品に就職。その後、浜松のはちみつ屋に転職。そして、オーダー家具職人の師匠の下に弟子入り。現在は、「CHARO~自転車に乗るヒゲのおじさん~」としてペニーファージング(車輪の大きな自転車)とともに、子どもたちにモノづくりの経験や楽しさを伝える“木工体験ワークショップ”の他、作り手である“職人”にフォーカスしたイベント「職人万博」を主催し運営。
ーー現在の職業になられたきっかけを教えて下さい
CHAROさん(以下:CHARO。敬称略):きっかけはやはり、無印良品時代の経験でした。“無印良品”というブランド力と圧倒的な商品力、そしてお客様からの絶対的な信頼感。本当に素敵な環境で、日本が誇る企業の一員になれた嬉しさも正直ありました。「どこの無印良品に行っても同じようにお買い物ができる環境」を整え、お客様に喜んでもらうのが僕らの仕事。
しかし数年がたって、ブランドイメージを守ることだけに注力している自分がいることに気づかされました。何のために無印の社員としてここにいるんだろう?僕が関わったお客様のために届けられるサービスは、もっとほかの世界線にもあるんじゃないか。と、まだ経験もなにもない頭でめちゃくちゃ考えたのを覚えています(笑)。
インテリアアドバイザーや店長職を目指すかを決める上司との面談で “将来自分のお店を構えたいこと”、“お客様が楽しくなるサービス提供者になりたいこと” を伝え、初めての転職を決めました。いま思えば、あの経験と決断、そしてそれを後押ししてくれた上司や同期がいたから、 今こうやって子供から大人までみんなが「楽しかったね!」と言って帰っていく体験型のワークショップを続けているんだろうと思います。
ーー具体的にどんなお仕事なのでしょうか?
CHARO:木工体験ワークショップを各地で開催しています。子どもたちでも簡単にできるDIYの工程を体験し、その場で実物を思い出として持ち帰っていただいています。 現在までに、オリジナルのフォトスタンドやスマホスタンド、額縁、天然木の焼き印体験などを開催しています。
その他にも変な自転車試乗体験会や撮影会など、会場に来てくださるお客様のご希望に合わせ新たなワークショップを運営しています。また、木工小物の注文をお受けしオーダーメイドで作成、結婚式の引き出物やウェルカムボードの作成、名刺やチラシ、ポスターなどのデザインも承っております。
ーーDIYを始めたきっかけを教えてください。
CHARO:就職してすぐに一人暮らしを始めました。インテリアを生業にした会社に勤めている以上、すぐにでもオシャレでカフェみたいなお店を作りたいと思ったのがきっかけです。しかし社会人 1 年目の僕にはお金も車もなく、あるのは体力と自転車だけ。ホームセンターで買った2×4の木材3メートルをハンドルとサドルに乗せ何度も往復して運んでいました(笑)。でも、自分で運んで自分で作った時の感覚が忘れられなくて、移動や転職で引っ越すたびに「どんな家にしてやろうか」と考えるのが大好きになりました。
ーーCHAROさんのDIYの特徴を教えてください
CHARO:特徴でいうと「壁」と「体験」ですね。 壁でいうと、賃貸アパートやマンションって壁に何もつけたりできないじゃないですか。 傷つけて後から高額請求されても怖いし…。 でも誰の家にも必ず、あんなに大きい壁面っていうキャンバスがあるって考えたときに、 床やキッチンだけでなく、壁にもちゃんと家賃がかかってるよなーと思ったんです。 なのでDIYで壁を作ってみました。
可動式にして壁を動かすとプロジェクタースクリーンとし ても使えるようにしてみたりもしました。動かせる壁ってなかなか面白いですよ(笑)壁を作り出せるということは、部屋を区切るパーテーションや、お部屋の中に柱を立てたりもできちゃうわけです。床にモノを置かなくていいのも特徴の一つですね。
体験というのは、小さなことでも「0が1になる瞬間が自分の手から生まれる時間」だと思っています。僕が提供できるのは木工体験ですが、これは木工に限ったことではなくて、料理でも掃除でもスポーツでもなんでもそう。 体験したことで出来上がった「1」に感動して、「もっとやりたい!!」と感じてくれてもいいし、「やってみたけどあんまり面白くない!」ということに気づいて、また違う経験にチャレンジしてくれればそれはそれでいいと思っているんです。 “やったことのないことをやってみるハードルを下げてあげる”ことが僕のDIYの強みでもあり楽しさだと思っています。
ーーどんな人にCHAROさんのDIYを使って欲しいですか?
CHARO:DIYをやったことはないけど興味がある方、お家でできる体験やワークショップで思い出を作りたい方、世界に一つだけのサプライズギフトを作成し大切な人にプレゼントしたい方、お子さんの自由研究や宿題の題材にお悩みのママパパ、単に変な自転車に乗ってみたい方など、動機はなんでも良いと思っています。家具屋さんでのお買い物でどれを買えばいいかわからない!なんて質問もお気軽に聞いてください。 僕でよければ一緒にお買い物にも行きますよ(笑)
ーーDIYをするときの3種の神器を教えてください
CHARO:「安価で良質な材料」「BGM」「早起き」この3つです。価で良質な材料探しには結構時間をかけます。 DIYレベルというのもあれですが、業者に頼んだりオーダーするのとは明らかに違うのがかけられる予算です。しかし質もある程度は保ちたい。わかりやすいものだとBBQのお肉を買うとき、安くてうまいお肉を一生懸命スーパーとか口コミとかで比べません?あんな感じでワクワクしながら探しています(笑)。
そして、2つ目はBGM。好きな音楽を聴きながら好きなものを作る。それだけで気分もあがります。 やっぱりDIYに音楽は欠かせませんね。以前にお客様が同世代だったこともあり、昔見ていたアニメの曲を聴きながらDIYしました。これがもうDIYがはかどるはかどる!お客様が好きな音楽のもとDIYやワークショップを楽しんでくれるのを見ているのがめちゃくちゃ幸せでした。
3つ目は早起き。これはDIYするようになって初めて気づいたんです。 「よしDIYしよう」となって計画を立てて、材料を買いに行って、帰ってきて作り出す。 ノリノリで作り始めたとき、もう夕方なんです。10 時ごろから始めたのに、これホントあるあるで(笑)。休みも限られてますし、「あー。また来週かぁ。」と何度もなってました。 それから早起きや、時間がある日は前日から計画を始めるようになりました。
ーーDIYをする日はどんな1日を過ごしていますか?
CHARO:
@06:00 起床・二度寝
@07:00 二度目の起床、朝食
・着替えてDIYの準備。そして図面と材料リストの作成をします。
@9:30 ホームセンターに買い出し
・オープンと同時に入店し、材料を購入。時間短縮のため、その場で加工。
@10:30 ホームセンターに買い出し(2店舗目)
・材料を購入。時間短縮のためここでもその場で加工。
@11:30 DIY開始
・加工、塗装、設置などをします。
@18:00 DIY終了
@18:30 入浴
@19:30 夕食
・DIYをするときはお昼を食べる時間がない為、夕食はご飯3合を完食。
@22:00 読書・娯楽
@24:00 就寝
ーー今までのDIYでお気に入りの作品はありますか?
CHARO:結婚証明書です。アンティーク調の額縁を作成し、参列者の名前を全員焼き印して作成しました。そこに新郎新婦が二人で生きていくために必要だと思う項目の色を参列者に押印してもらえるようなデザインに仕上げました。結婚式が終わってからもお部屋のインテリアとなるような作りにしたのがポイントです。
時間の経過と共により深みが増していく、まさに一生もの。
ーー暮らしの中で大切にしている事はありますか?
CHARO:奥さんを誰よりも大切にしています。僕の仕事は時間も内容もすごく特殊で正直たくさん心配をかけています。そんな僕をいつもとなりで応援してくれて、元気に「行ってらっしゃい」「おかえり」と受け止めてくる奥さんがいてこの仕事が成り立っています。僕にとっての暮らしを作ることは、“奥さんと楽しく生活していくこと”なので、そこで生まれた発見やアイデアが、お客様や子どもたちにとっての喜びにつながることもたくさんあったりします。誰しも一人では生きていけないので、頼っている分それ以上に返してあげたい気持ちは忘れないようにしています。
仕事と家庭、関わる人を笑顔にするため努力を続けるCHAROさん。
ーー今後チャレンジしていきたいDIYや目標があれば教えてください。
CHARO:今後は、自分のお店を持つ前段階として、「移動型セレクトショップCHARO(仮)」を構想しており準備を進めております。 業者には一切委託せず、マイクロバスをDIYのみでお店として作り上げます。 もちろん僕ひとりではできないことです。このMr.DIYで出会った皆さんと一緒に、車内のDIYや車体の塗装なんかも、みんなで体験できたら楽しそうじゃないですか?(笑) なんて考えてるだけでも楽しいので、興味ある人はお問い合わせください。
ーー最後にCHAROさんにDIYを任せたいと考えている人にメッセージをお願いします。
CHARO:はじめまして!CHARO です!!今日はどんな一日でしたか?私たち大人は子どもの頃、学校や地域、家族との時間を経ていろいろな経験をしてきましたよね。部活動や習い事、キャンプや野外学習など。当時こそ当たり前に過ごしていましたが、今、そんな体験が当たり前にできずに育っていく子供たちが数えられないほどいます。
どちらがいいというわけではありませんが、せめて身近な子どもたちだけでも、“大人が決めた勝手な我慢”を押し付ける状況をどうにかできないかと考えるようになりました。モノづくりをしている時間、子どもたちは大人顔負けの驚異的な熱中力を発揮するときがあります。絶対に満足するまでやる!というあのパワー。この可能性を子どもたちがなんとかイキイキと、当たり前に経験できる形態を作り出せないか。そんな思いもあって、僕は木工体験ワークショップをはじめました。
いくつになっても始められる DIY も、同じ思いを持った DIY経験者の大人が一人でも増えればそれがきっと次の世代に繋がると信じています。もし、記事を最後まで読んでくださっているあなたが、何かおもしろい体験や活動をしたい!子どもたちに届けたい!そう思ってくださったのであればそれだけで本当に嬉しいです。
このMr.DIYの職人さんたちは本当に素敵な人ばかり揃っていますのでお気に入りの職人さんに出会ってくれれば、なお嬉しいです。あなたにとって、素敵なDIYに出会えますように。
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Edit:Mr.DIY編集部