[TRAVEL DIY vol.3] 街づくりの最先端都市 ポートランド
アメリカ・オレゴン州最大の都市「ポートランド」は持続可能で優れた街づくりを体現し、街づくりの最先端都市としていつしか全米一住みたい都市と称されるように。日本から直行便で約9時間のところに位置し、ナイキ、アディダス、キーンなどの有名企業が本社を置き、環境意識の高い人やクリエイティブに携わる人ならば一度は訪れたいと思っている地域として近年注目が続いている。
なぜポートランドが「優れた街」「最先端」と言われているのか。それは新しいビルや家が建ち並び、新しいファッションや物が常に揃っている場所だから。という事ではありません。改めて「最先端」とは何か。考えながらポートランドの住宅事情も紹介していきます。
|街と自然が一体
ポートランドは小さな都市ですが、200以上の公園と360度大自然に囲まれています。そのため、週末にキャンプなどのアウトドアができる環境が身近に。
|CO2の削減
都市機能を中心部に集中させ、公共交通機関の整備、自転車利用の促進により、コンパクトシティの実現に成功。一人当たりの車の運転の削減に成功。
|天然資源を活かしたビジネス展開
自然が多いことから自然と共に経済発展をしてきた街でもあります。資源を活かして農業・畜産・木材産業で経済を支え、観光・サービス産業などで発展し、現在はIT分野のシリコンフォレスの急成長で高い経済成長を誇ってきました。
ポートランドが位置するオレゴン州はなんと消費税が0%!つまり消費税がかからないのです。また、行政システムにおいてはポートランドに政治家は5人しかいません。「シティ・コミッション」という制度で、毎週1回のペースで市民代表者とともに会議が開かれ、市民からの様々な提案をそれぞれの分野担当者が素早く議決し、実行されるのです。市民は積極的に政治に参加することで、市民参加型の街づくりで街が活性化し、良い形で形成されてきました。
|地産地消
週末はファーマーズマーケットが開かれ、地元で採れたフレッシュな野菜が手に入ります。
オレゴン州で生産されたワインは絶品。他にも地元の農場で収穫したホップで作るクラフトビールも名産品の一つ。ポートランドのレストランでは地元の食材やアルコールを提供しているお店も多い。
|クリエイティビティ
大量生産・大量消費社会である日本の多くの企業は、新しく商品を生み出したりモデルチェンジを繰り替えす事で新商品を購入してもらい、経済を回しています。住宅においても考え方は同じです。古い建物は取り壊され、新しいビルや家が建つことで人や物が動くと考えられ、新たな価値を提供し続けているのです。しかし、ポートランドの街並みを見渡すと、古い家やビルはDIYやリノベーションによってキレイに保たれています。「古くなったら取り替える」「新しいものに価値がある」というのではなく、創造力(クリエイティビティ)をはたらかせ、限りある資源や環境を大切にするカルチャーが存在しているのです。
|DIYで使えるアイテムも豊富
お洒落なインテリアアイテムを扱っているお店も多いです。そしてなんといっても古材に合いそうなアイテムがたくさん。
地元のクラフトビールを飲みながらDIYができる「DIY BAR」も存在。
■DIY BAR
住所:3522 N Vancouver Ave, Portland, OR 97227
電話 : 5033-477-6090
https://www.diybar.co
|ADU
20年程前にアメリカで生まれたタイニーハウス。ポートランドでも住宅の増築や拡張を目的に取り入れる人が増えていました。そして新たにここ数年注目を集めているのがADU(Accessory Dwelling Unit)です。ADUは日本の「離れ」のようなもので、住宅の床面積よりも小さく、付属住宅として敷地内に建設されています。アメリカの住宅は敷地面積が広いため実現可能でもあるが、今後日本は高齢化社会に伴い両親との暮らし方の一つとして注目されていく可能性も。
今世界は「サステナブルな社会」に向けて大きく舵をきっています。テクノロジーの発達と同時に、新しいもの=最先端として追いかけるのではなく、世の中に溢れ返っている古くなったものをクリエイティビティを活かし、限りある資源を有効活用していくことがこれからの「最先端」であることは間違いない。
日本政府観光局の調べによると、2019年の出国日本人数は1年間で2,008万人。そして、2020年の発表されている累計(1月-10月分)出国日本人数は約311万人と大きく減少し、世界的に移動制限がある暮らしをしています。そんな中、DIYできる海外「住」カルチャーお届けすることで、少しでも旅行気分を味わっていただこうという本企画「TRAVEL DIY」。定期的にお届けしていきますので海外旅行気分をお楽しみ頂ければ嬉しいです。
Edit:Mr.DIY編集部