ヴィンテージ偏愛!古き良きプロダクトを愛するDIY職人[CRAFTSMAN FILE vol.14]
CRAFTSMAN FILE vol.14
職業:古物店オーナー
我々が住む日本は戦後の復興期後、高度成長期を迎え1960年代以降には大量生産・大量消費時代が到来。技術の革新とともに、モノは使い捨てることが当たり前となりました。しかし、近年SDGsへの理解も深まり、ライフスタイルを見直す人が増加。
トレンドや他者の目線を意識するのではなく、自分が好きなものや生き方を選び、自分らしさを表現。時代が大きく変化している昨今、実はZ世代の若者が古着やヴィンテージアイテムなど、ライフスタイルにレトロ要素を取り込む、まさにリバイバルブームが到来中。
今回の「CRAFTSMAN FILE 」は、古物商として海外のヴィンテージ雑貨やおもちゃを取り扱うお店を営むDIY職人をご紹介。ヴィンテージ偏愛ならではの発想に要注目です!
〈PROFILE〉Shige(活動名)
内装工事業に約20年間従事。主に軽鉄・石膏ボード・GL・パネル・化粧板などの内装仕上げを担当し独立。2020年には古物商として海外のヴィンテージ雑貨やおもちゃを取り扱うお店を東京にオープン。
ーー今までのご経歴や現在の職業について教えてください。
Shigeさん(以下:Shige。敬称略):約20年間、軽鉄・石膏ボード・GL・パネル・化粧板などの内装仕上げ工事業をしていました。その後独立し、フリーランスとして数々の現場をこなしてきました。
2020年からは古物商として主に輸入の古い雑貨とオモチャを取り扱うお店を経営しています。実店舗の他に、ネットショップやイベントなど多角的に事業を展開しています。
大量生産時代とは一線を画すヴィンテージアイテムたち。
ーー具体的にはどのようなことをしているのですが?
Shige:アメリカを中心に輸入、又は買い付けた古い雑貨やオモチャを店舗やウェブショップなどで販売しています。SNSを中心に商品の紹介や、DIYで新たに手を加えた場所の解説などもやっています。
限られたスペースでより良くするためにも棚や什器などをDIY。
意識しているのは商品の魅力を引き出すための空間演出。古物と相性の良い空間を考えてDIYしています。
ーーDIYを始めたきっかけを教えてください
Shige:趣味で集めていた古いオモチャをディスプレイしたくて作成した棚がきっかけです。棚を作成したのは今から15年ほど前になりますが、当時メインでやっていた内装業が現在のDIYの原点になっています。
DIYをはじめるきっかけとなった棚。店舗で今も活躍中。
ベニヤ板に洋書の広告を貼ってデコレーションしたり、ペンキを垂らしただけの棚ですが、自分の人生のいつも近くにあったので、今も自分から近い位置に取り付けて使用しています。
ヴィンテージアイテムはカルチャーそのもの。
ーーShigeさんのDIYの特徴を教えてください
Shige:モールディング(装飾見切り)を多用する事、ドアノブやスイッチカバーなどの小物にも拘る事です。
小物は選定し取り付けるだけなのですが、モールディングは全て作成します。幼少期から映画などでアメリカやヨーロッパの住宅を目にする事が多かったこともあり、機能的に全く意味のない装飾に憧れを持っていました。
日本では住宅に機能な合理性を求めた結果、控えめな装飾が中心。
アメリカやヨーロッパでは自分達が最も多くの時間を過ごす環境に対して敏感。装飾品を駆使してカッコをつける事でリラックスさせたり向上心をあげたりしているんだろうと気付きました。
ーー内装工事業での経験は現在どのように活きていますか?
Shige:プロとして約20年間、安全性や機能性を学んできたので建築的視点をもってDIYに取り組むことがきます。DIYをされる方々それぞれが色々な環境や方法で学ばれたと思いますが、私の場合は建築現場から多くを学びました。
海外の住居構造を肌で感じることでDIYのデザイン性がアップ。
ーーどんな人にShigeさんのDIYアイテムを使って欲しいですか?
Shige:ストレートに私の作品やセンスを好きだと思ってくれる人からの依頼があれば嬉しいです。良いと思って下さる気持ちが、更に良い物を新たに生み出せると思っています。DIYの本質である「暮らしを豊かにする」これに直結してくるんじゃないかと思います。
省スペースにもウッドデッキの作成が可能。
晴れた日は洗濯物やバーベキューがしたくなるウッドデッキ。
ーーDIYをするときの3種の神器を教えてください
Shige:1つ目はインパクトドライバーです。ビスを使った建築やDIYがメインになるので愛用しています。
2つ目はバッテリー式のトリマーです。モールディングなどの装飾を多用する自分にとっては重要なアイテムです。バッテリーも強く、どこでも使えるので重宝しています。
3つ目はレーザーです。信用度で言うなら糸や水平器、下げ振りになりますが、それらを利便性で優っていると思います。棚や建具などを作成する時点での使用はほとんどありませんが、取り付ける際に出来るだけ早く正確に取り付けるためにも必要なアイテムです。特に、天井などの広範囲の作業時には欠かせません。
最後に、もはやこのご時世において不要な嗜好品と思われますが煙草です。建築現場では休憩という言葉は使わず、一服と言います。煙管での一服が語源とされています。
この一服中に煙草を吸いながら解決した問題は数え切れません。次の展開を整理したり予想外の事態や問題点を冷静に対処するためにも私には必要です。
ーーDIYをする日はどんな1日を過ごしていますか?
Shige:朝は家事を済ませて子供を幼稚園に送ってからお店へ真っ直ぐ向かいます。作業開始から昼食までの間に一服してリラックスしながら頭の中を整理します。
昼食後お店が始まるとお店の業務を優先し、終わり次第すぐに作業へ戻ります。22時の作業終了まで一服して頭を整理して作業の繰り返しです。
AM 7:00起床
AM 7:15朝食
AM 9:30作業開始
PM 12:00 昼食
PM 13:00 店舗Open
PM 20:00 店舗Close
PM 22:00作業終了
PM 22:30夕食
AM 0:00就寝
ーー今までのDIYでお気に入りの作品はありますか?
Shige:昨年に増築した店舗の扉です。
拘った点は表と裏でカラーもコンセプトも違うという点と、狭い店舗のスペースを考慮して親子扉(大小の観音開き)にした点、材料に廃材と安い材料を使用している点です。
表側は板目を活かした店舗の入口に相応しい風格のあるイメージで、裏側は2色の塗料を使い経年による退廃感をイメージしました。ネイビーブルーの部分にサンドペーパーで度合いを見ながら下地のグレーを少しだけ出しています。
廃材や安い材料を使用した場合、湿気による歪みや膨張からくる機能の低下が課題になってきますので、そういった影響を可能な限り受けない工夫をしています。
その他、妻の働く保育園に通う子供達のために作ったキッチンです。限られた予算と、材料買い出しから製作終了までが1日だったので、特に高い技術も拘りのデザインもありません。しかし「子供の遊具」このキーワードには徹底し、木材による怪我を軽減させるために角を全て丸く面取りし、鍋を置く五徳、水の出るシンク、回せるガスコンロの取手を再現しました。
子供たちに人気の高い遊具になっているとの事で気に入っています。4年前に作成しましたが、今現在も現役で子供たちに愛されているみたいです。
ーー暮らしの中で大切にしている事はありますか?
Shige:機能性はもちろん大事なんですが、自分はデザイン性の高い物を使う事でモチベーションをあげています。常に自分が納得出来る物を使う事でストレスや抑圧を減らし、前進する考えが最前にある状態になれます。
ーー今後チャレンジしていきたいDIYや目標があれば教えてください。
Shige:ほぞ継ぎの経験を積みたい事と、工房や加工場が持てたらの話にはなりますが、ウッドターニング(木材を旋回しながら加工)でピューラー(装飾支柱)を作れるようになりたいです。
その他に木工以外でも経験できる事があれば積極的に学びたいです。
2つの木材部品を接合する技術。
ーー最後にShigeさんにDIYを任せたいと考えている人にメッセージをお願いします。
Shige:どんな些細な事であっても真摯に向き合うので、まずはご相談下さい。現状ではリノベーションのような規模の大きな商品のみとなっておりますが、1日で完了できて、料金も抑えた簡単な棚やスロープ、手摺などの生活にプラスする物のプランや、犬小屋、キャットウォークなどのペット向けプランも考えています。
皆様からいただいた依頼は貴重な経験として自分に収めさせていただきますので、是非宜しくお願いいたします。
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Edit:Mr.DIY編集部