[TRAVEL DIY vol.2]意外と知らない韓国「住」カルチャー
2020年『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を受賞し、第3次韓流ブームが日本を席巻。特にブームの中心となっているのが10代〜20代のZ世代と言われる1996年代〜2012年生まれの世代。情報をいち早くキャッチしブームのインフルエンサーとなってきました。しかし、Z世代より上の世代も第1次・第2次韓流ブームもあって幅広い世代が韓国カルチャーを体感してきたのではないでしょうか。
その中でもファッションや韓国料理など「衣」「食」のカルチャーは知っていても、まだよく知られていないのが韓国の「住」のカルチャー。
現状回復をしなくていい!?韓国の住宅事情
日本では賃貸契約の場合、退去の際に原則求められる現状回復。しかし、韓国では日本ほど原状回復に厳しくなく、「セルフ・インテリア」と言ってDIYを楽しむ人が増えています。
韓国では主に2つの賃貸契約があります。1つは「ウォルセ」と言って毎月家賃を支払うシステム。そしてもう1つが「チョンセ」。入居時に多額の保証金を支払い、契約期間居住して退居時に保証金を返金してもらえる契約があります。実質0円で家を借りられる家主のメリットは、保証金を資金運用できることにあります。日本と違って韓国の銀行は金利が高く、保証金を銀行に預けることで家賃相当の収入を得ることができるのです。しかし、昨今は銀行の利率が悪くなり「チョンセ」はなくなりつつあります。
韓国特有の住宅形式
日本と気候や文化が違うからこそ、独自の韓国スタイルが生まれました。そんな特徴ある韓国の住宅スタイルをご紹介します。
①サンルームみたいなバルコニー
韓国では日本のようなオープンエアのベランダではなく、窓の内側にサンルームのようなスペースがあります。天気を気にせず洗濯物を干したり、観葉植物を飾ったり、お気に入りの椅子を置いたりと、くつろぎの空間としても活用されているスペースです。日本でも取り入れている住宅があり「インナーテラス」とも呼ばれています。外に設置されたバルコニーでは使用方法が限られてしまいますが、インナーテラスであれば居住空間としても使用できるため、大きな注目を集めています。作るにはいくつか方法があります。
|スペースを増設
インナーテラスの位置付けとはなりませんが、メーカー販売の商品を購入して外付けで設置。
|DIY
既製品ではなく温かみのある木材がいい、という場合は窓枠に合わせてDIYをすれば大きさや形を自由に決められます。
|間仕切り戸を設置
室内にガラス面の間仕切りを作ることで、圧迫感を無くし、部屋全体の明るさを保ちつつ、スペースを区切ることができます。用途によって広さを調節できるので、自転車を置いたり洗濯物を干すだけなら小スペース、椅子などを置いて広々使いたいなら大スペースと、予め何をするためのスペースにしたいのか決めてから広さを決めると実用的なスペースに。
毎朝インナーテラスでガーデニングなんかも憧れますね。
②映画の舞台にもなった半地下住宅
2020年に話題になった映画『パラサイト 半地下の家族』の舞台になった半地下住宅は、住環境としては最悪と言われてきました。日当たりが悪く湿気がたまりやすいうえに、通行人の足が見えるなんてことも。そんな住環境なので当然家賃も安く、貧しさの象徴でした。しかし、カフェにしたり、SNSでDIY配信する人が増え、半地下住宅に対してイメージがいま変わってきています。
半地下住宅をDIYするとき、日当たりの悪い日本の部屋でも使えるテクニックがあるのでご紹介します。ポイントは「無理に明るさを求めない」ことです。日が当たらない部屋に日を呼び込むのは物理的に難しいので、暗さを活かした部屋にできるか、です。
|壁を白く塗装
部屋の壁がコンクリートや暗い色の場合、白く塗装。視覚効果で明るく感じます。
|ライティング
ライトは複数個設置。薄暗い部屋を1つの照明で明るくしようとするとオフィスのような雰囲気に。電球色の電球や蛍光灯を複数個設置することで、雰囲気も明るさも保つことができます。
|アート
油絵やオブジェなどで複数色使ったアートを飾ることで、美術館のようなお洒落空間に。
|グリーン
耐陰性のある観葉植物を飾るだけで部屋の空気が綺麗に感じます。
それぞれの要素をバランスよく取り入れ、「暗い!」よりも「お洒落!」と先に感じる部屋にしてみましょう。部屋の印象は入った瞬間に決まるので日当たりの悪い部屋でも諦めずに試してみてください。
日本政府観光局の調べによると、2019年の出国日本人数は1年間で2,008万人。そして、2020年の発表されている累計(1月-10月分)出国日本人数は約311万人と大きく減少し、世界的に移動制限がある暮らしをしています。そんな中、DIYできる海外「住」カルチャーお届けすることで、少しでも旅行気分を味わっていただこうという本企画「TRAVEL DIY」。定期的にお届けしていきますので海外旅行気分をお楽しみ頂ければ嬉しいです。
Edit:Mr.DIY編集部